妊娠糖尿病と診断された方達は「出産すれば治る!」と信じて、毎日の食事療法やインスリン治療に耐えてきたはずですが・・・。
実は「出産しても血糖値が下がらないことがある」という事実をご存じでしょうか?
妊娠中よりも産後の方が血糖値が高くなってしまい、妊娠糖尿病で済まされず産後から「本当の糖尿病」に移行してしまうケースもあるのだそうです。
産後には治ると思っていた妊娠糖尿病が治らなかったら・・・
産後の血糖値が妊娠中よりも高かったら・・・
これからの人生が不安だらけになってしまいますよね?
そんな不安を抱えている方のために、今回は「妊娠糖尿病の方が産後に糖尿病へ移行する確率」や「産後の高血糖を改善する方法」について調べてみました。
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妊娠糖尿病は、産後糖尿病に移行する!?
妊娠中に「妊娠糖尿病」と診断されても、多くの方は出産すれば血糖値が正常に戻ります。
しかし一部の方は、産後も血糖値が正常値に戻らず「境界型糖尿病」や「糖尿病」と診断されてしまうことがあります。
妊娠糖尿病患者さんが、産後に境界型糖尿病や糖尿病になる確率はどれくらいなのでしょうか?
調べてみると、いくつか諸説ありましたのでご紹介します。
◆妊娠糖尿病患者さんの20~90%弱に、産後糖尿病を含む何らかの耐糖能(糖を正常に処理する能力)の異常が見られる
◆妊娠糖尿病患者さんの5%強が、産後糖尿病と診断される
◆妊娠糖尿病の患者さんは正常な妊婦さんと比べると、将来糖尿病になる確率が約7倍である
とありました。
いずれにせよ、妊娠糖尿病の方は「産後に糖尿病になりやすい」というのは間違いないようです。
また、妊娠糖尿病だった方は正常な妊婦さんと比較すると、将来メタボリックシンドロームになる確率も高いそうなので、注意しなければならないのは「糖尿病だけではない」とも言えそうです。
こうして見ると、産後に血糖値がもとに戻ったとしても油断せず、引き続き食事や運動に気を付けて行くべきだと言えますね。
(「産後の血糖値が高い!産後の血糖値の基準値は?」に関連記事を書いています。)
産後糖尿病はどうやって発見できる?
妊娠糖尿病の患者さんは、主治医や看護師から「産後の検査を受けてください」としつこいほど言われているかと思います。
これは、産後1~3ケ月の間に「75gOGTT(ブドウ糖負荷検査)」を受けることで「耐糖能の異常や糖尿病を発見できるから」です。
つまり、産後に糖尿病を発症しているかどうかを知るには、産後の定期的な検査が欠かせないということになります。
一般的に、次ようなスケジュールで産後の定期的な検査を行うようです。
◆産後1~3ケ月の間に行われるブドウ糖負荷検査において「異常なし」であれば、1年後に再検査を行います
◆産後1~3ケ月の間に行われるブドウ糖負荷検査において「異常あり」で「境界型」の場合は、3~6カ月後に再検査を行います
◆産後1~3ケ月の間に行われるブドウ糖負荷検査において「糖尿病型」の場合は、1~2か月後に再検査を行い必要であれば治療に入ります
産後の時期は、新生児のお世話や寝不足や出産による疲労によって、ママは心身ともにくたくたな時期です。
そんな時期に、赤ちゃんを連れて病院で検査を受けるのは「億劫で面倒くさい」と感じてしまうものですが、忙しさを理由に産後の検査を怠ってしまうのはキケンです。
気付かないうちに糖尿病になっていたら大変なことですよ。
ご自身の血糖値の状態を把握するために、産後の検査は必ず受けて下さいね。
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産後の糖尿病を予防するには?
妊娠糖尿病を発症しても、産後は血糖値が落ち着くとされているのが一般的です。
しかしこれは全員に当てはまるわけではなく、一部の患者さんでは血糖値の状態が悪化してしまう方もいます。
妊娠糖尿病患者さんが書いたブログなどを読んでいると、「妊娠中よりも高い数値が出た!」「産後も血糖値が安定しない」などの声がたくさん見つかります。
妊娠糖尿病の患者さんは健康な妊婦さんと比べて、産後に「糖尿病にかかるリスクが高い」わけですから、今後も糖尿病を予防する生活を心掛けて行きましょう。
「糖尿病を予防する生活」は、それほど難しいことではありません。
私も実践している次のことを試してみて下さい。
・食生活の改善
「甘いものをよく食べる」「食事は炭水化物が中心」「間食をしている」「野菜を摂る量が少ない」など、血糖値が上がりそうな食事をしているので少しずつ改善していきましょう。
血糖値が上がりにくい低GI値の食品を選ぶことも効果的だと思います。
(「低GI値は糖尿病予防にならない?糖質制限との違いは?」に関連記事を書いています。)
・食べる順番を変える
食事の最初に野菜やきのこなど食物繊維を食べておくと、後から食べる糖質の吸収が抑えられると言われています。
食事には必ず野菜などを添えて、おかずから食べるといいですね。
産後の忙しい時期には、血糖値抑制成分が含まれた無添加の食品を常備しておくと便利です。
(「血糖値対策!食べる順番は「汁物」と「野菜」どっちが先?」に関連記事を書いています。)
・運動する
産後すぐ、激しい運動を行うのはよくありません。
まずは出産によるダメージから体を回復させること、そして赤ちゃんのお世話のための体力を温存しておいて下さい。
しかし、血糖値コントロールのために運動は有効ですから、産後の時期はストレッチから始めてみてはいかがでしょうか。
産後しばらくして体力が回復してきたら、歩く、階段を使う、スクワットをするなど、普段の生活に軽い運動を取り入れて行くといいでしょう。
(「血糖値を下げるために室内でできる運動とは?」「血糖値を下げる運動とは?運動時間はどれくらい?」に関連記事を書いています。)
・低糖質食品の活用
「食べずにストレスを溜める」のはよくありません。
また、産後の授乳期は、母乳のために栄養やカロリーを摂る必要がありますので、過度な食事制限もよくありません。
しっかり食べても血糖値を上げにくくするために、普段の食事の中に低糖質な食品をうまく取り入れてみましょう。
赤ちゃんのお世話で忙しい産後の時期に、片手で食べられる低糖質なパン は食事にもおやつにもお勧めです。
このような食事の見直しや運動を取り入れることで、必ずしも糖尿病にならないわけではありませんが、何もしないよりは余程いいのではありませんか?
あなたができそうなものから1つずつ試して行って下さいね。
おわりに
妊娠糖尿病の方は、血糖値が高くても「妊娠中だから仕方がない」と割り切ることができたと思います。
しかし産後に血糖値が高い場合は、何のせいにもできません!
糖尿病は遺伝の要素もありますが、遺伝だけではありませんから「誰かのせい」にもできません。
「血糖値が上がりやすい体質」に加え、「乱れた食生活」「運動不足」「肥満」などの要素が加わったときに、糖尿病として発症するのです。
つまり産後の糖尿病は「あなたの生活習慣が原因」なのです。
私も自分の血糖値が高いと知ったときは、「自分の生活習慣が悪い」と指摘されているような気がしてとてもショックだったのを覚えています。
しかしよく考えてみれば、炭水化物や甘いものをよく食べていたのを思い出します。
「高血糖」という結果が出たということは、必ず原因があります。
今ここでもう一度、自分の生活そのものを見直してみるチャンスだと思い「糖尿病を予防しよう!」という気持ちを忘れないで欲しいと思います。
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